《ひろ君の詩に寄せて》

「神様は、なぜ博君を連れていってしまったの。
あの本当にピュアで愛情豊かな仲よしの家族から・・・・」

この答えを求めて、この二ヶ月、私の心も彷徨いました。
博くんは、まるで(博君が主人公の)ファンタジーのように、
私たちにとてつもなく大きななぞかけをして、
とても美しい安らかな顔で逝ってしまいました。
 でも、ご家族の手元に残されたたくさんの博君の創造活動の産物。
この中に、なぞを解くがぎはありました。

  博君のことを考える時、悲しいのに心があたたかいもので充たされる。
  博君のことを想う時、寂しいけれどやさしい思いに充たされる。
  博君の詩の世界ページをめくる時、自分の汚れた心が洗われる。

私が、自分の中の純なものをとりもどすひとときです。
それは、私だけではないはずです。
これこそが、博君の求めていたものであり、
神様が博君をお連れになったわけのように思えます。

 17年間のひろ君の人生は、ご家族や人へのあふれるほどの愛と、
「人はなぜ生き、なぜ死ぬの」
の問いの答えを求めての壮絶な葛藤に満ちたものだったように想います。

 私の中にフラッシュのように出てくるひろ君は、いつも輝き、生命力にあふれ、折々に「すごいなあ」「天才?」の感嘆の声をあげずにはいられないものでした。
 *一年生の時の、思わずほほえんでしまうような、感性豊かなお母さんとの会話。
 *観劇での、ステージからの問いかけに誰よりもいっしょうけんめいに答えるけなげな姿。
 *興味を引かれたものに、すごい速さで走り寄っていくひたむきな姿。
 *絵画や詩作に表れる、探求的で真摯な姿。

 ひろ君が誰よりもその命の火を激しく燃やし、ご家族も彼を心から慈しみ、喜びと苦しみに満ちた17年間。

彼は、ピュアな魂そのままに生き、この世をかけぬけました。
この家族だからこそ、ひろ君の純粋な魂が育まれ、大切にされ、
そのままに旅立ったのだと思います。
 彼が、その汚れなき魂に何の衣も防具も付けぬまま生きぬいていくには、
あまりにも今の世は汚れているように思います。
 でも、その中で、少しでも人の役に立ちたい、安らぎになりたいというのがひろくんが一生をかけて目ざしたところではないでしょうか。
 だからこそ、ひろ君の残したものにこんなに癒されているのだと思い至ります。

 今は、青き光となったひろ君。
あなたのかけたなぞは、もっと深いところにあるのかなあ?
私たちが、それぞれの人生の中で答えにいきついた時、
どうか空からその美しい目で笑いかけてくださいね。

 今、心から言いたいこと。
それは、ひろ君へ 友達である美樹子さんへ そしてご家族の皆様へ
「本当にごくろうさまでした」ということです。
とても、とてもがんばられましたよね。
 そして、もう一つ。「ありがとう」です。
私たちに思い出と、大切な問いと、ひろ君に出会える「道」を残していってくれて。

 ひろ君、私は感じています。
あなたは、神様から次はそのピュアな魂に少し衣をまとい、
その守り方を教わって、必ずやまた国井家に生まれかわってくることを。
そこからが、ひろ君のファンタジー二章の始まりだと。
悲しみの中からも、力強く生まれる喜びをあなたは、きっと美樹子さんやご家族、そして私たちに感じさせてくれることを。
 ひろ君、そんな日はそう遠くないと私は思っています。
その日まで、しばらくその魂を休めて、がんばるご家族を見守ってあげてくださいね。


 
ー『ぼくは生かされているんだね』ー
「help me 〜一人〜」の一説です。


若くしてすでにその思いに至る博君。
彼の詩を旅していくと、
「ねえ、それでいいの?」
と静かにやさしく生き方を問う彼の声が聞こえてくるようです。
 『美しい心』からしか生まれ得ない言葉。
その魔法が、私たちの疲れ・迷い・汚れた心を癒し、
また洗うのだと思います。
 自然と会話できたひろ君、
どんな絵にもそこにたくさんの命や笑顔を住まわせたひろ君、
あなたの願いが羽になって広がりますように。


ひろ君と美樹子さんの友人 斉藤智美
  

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