1月のショートストーリー

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2001.1.19 『憂鬱』

 何だか頭がクラクラだ。僕の心は何だか本当に複雑だった。
 まず、学校の先生には説教をくらった。けど、その先生の発言にも一理ある。
先生には一応反論はしたけど、結局、先生の意見に流されて、
何だか自分の思いが伝わらなかったという感覚ばかりだった。

 ああ、そういうのは嫌だ。

 だが、それだけじゃないんだ。
 最近、学校での友達関係も、何て言ったらいいか・・・。
一応、うまくやっているんだけど、なんていうのかな、自分の持っている性格もあるのかもしれない。
ある友達を時々キレさせてしまったり、毎日電話で仲良く話している友達とも、僕ばっかり話していて、
何だかどっか嫌がられているようで・・・・。
この心境は、何だか話し上手では全くない僕は、その時に憂鬱さが襲ってきた。
 まあ、最近夜になると、一日が早く感じられるこのごろだから、まあいいやと思っていたが、
「あーあ、また明日もあのバカ先生に会わなきゃなんない。
高校生というものになってから、こんなに苦労するとは思わなかったよ。」
と、ブツブツつぶやきながら、クラクラだった僕は、自分の部屋に貼ってあるマイブレイクアーティストを見て、
「まあ、おまえがいればいいや。」
と、つぶやいたものの、半分は明日の嫌なことが頭を占めていた。
 今日の嫌なことは忘れようか。
 それとも、先生の言ったことを思い出して考えていこうか。
 などど、思っているうちに眠ってしまった。

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2001.1.25 『僕は王子様』

 僕は気が付いたら“王子様”になっていた。
それも、ふわふわと空に浮かぶ雲のような夢の王子様。
性格もバカ王子って感じ。 まず、新しい物は全て父上なる王様に頼み、気が付けば、欲しくもない物までねだっては、
自分の手の中に入れた。
 母上は、本当の立場は女王様なのだが、僕こと王子はその母上まで、まるでどっかの召使い扱いをしていた。一言、
「母上、わたくしの好む鈴木あみのCDという物を買ってきてはくれませぬか?」
と言えば、母上は僕の言うことを聞いてくれた。
なのに、王子様はその時も全く女王の行為に何一つ有り難みを感じていないような態度を取った。

 1月25日のことだった。
王子になった僕は17にもついこないだなったゆえに、
今までの、親の自分に対する熱意を少し考えてみて、物をもらってばかりではいけないと思った。
 だから、自分が絵が少しうまいこともあって、王様・女王に二人の顔を書き、渡した。
 
   王子はこのときびっくりした。
 王様はうれしそうな顔を僕に見せてくれていたのに、
女王様は、何かこれはちがうといった少し苦い笑い顔だったのだ。
 王子はこの時、
「なんでよろこばないんだ」
と、あたりにある椅子を、ついけってしまった。
 けれど、女王は王子を見て、
「もっといいプレゼントは王子様を卒業することではないんですか?」
と言った。

 この後、王子はだまった。
 が、王子を卒業するのはまだのようだった。
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2001.1.29 『ケドリック』

 もうすぐ二月が始まると思った。
けど、彼は今日もあたしには何も嬉しい知らせをくれなかった。
一月の終わりはとてつもなく寒いと思ったのはあたしだけなのかもしれない。

 あたしには新しい彼ができた。
顔はとっても白くて、雪のように。
あたしより背もちっちゃいところと腕がかなり太いといったところは欠点ではあったが、
そのつぶらな瞳は誰にも負けない輝きを放っていた。
 彼の名前は少々変わっており『ケドリック』といった。
ケドリックはあたしを見て、いつも笑顔を返してくれた。
それだけで、あたしは前の彼とお別れしたことをちょっとだけ忘れることができた。
 今日は、前の彼にけじめをつけたいと思い、
今の今までとっておいた彼との思い出の写真やその他の品々を一つの四角いボックスに入れ、
ケドリックには内緒に書いた、最後の別れの手紙をそのボックスに入れて、
リボンをちょうちょ結びで巻き付け、あたしの家の近くのゴミ捨て場に捨てた。
「ケドリック、これからはずーっと一緒にいようね。いつかは明るい日がくるよね」
何故か、あたしゴミ捨て場っていうへんなところで涙を一つだけ流してしまった。
でも、なぜ流してしまったのかは全く分からなかった。
でも、それは問題じゃないと思って、すぐ、ケドリックが待つあたしのうちに帰った。
 ケドリックは、あたしの方を見て、ぱっちりお目々で笑っていた。
 そんな、新しい、体重のもの凄く軽く、腕の太い彼に即座に飛びつき、泣こうと思ったけど、
新しい彼ケドリックはただのただのふわふわの白いクマ。もの凄く大きいクマの人形だった。
一応、新しいあたしの彼にそんな変な態度はできないなと思い、ケドリックを見て、
「ごめんなさい」
一言だけ謝った。

心の傷は残ったままだった・・・・・


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